50円と20分でできるペダリング分析
50円と20分でできるバイオメカニクス的ペダリング分析をしてみた。
バイオメカニクス的ペダリング分析と言っても何ができるかっていう話なんだけど
・関節角度(今回は膝屈曲角度)を動画にオーバーレイ
・任意のポイント(今回は踵)の軌跡を動画にオーバーレイ
・任意のポイントのトラッキング座標データを取得 [x軸,y軸,timeの3次元]
が今回行った分析。
これやって何が嬉しいのっていうのは最後に話します。
以下Demo(0.5倍速です)
いわゆるバイオメカニクスでいう「モーションキャプチャー」が、スマホとかで撮った動画で軽く再現できるよというお話です。
このモーションキャプチャーっていうのは、大きくて高価な機材が必要なラボテストで、普通のアスリートにはほとんど縁がない。
僕は一度、実験協力という形で縁があり、ランニングフォームのモーションキャプチャーを体験したことがあるのだけど、カメラが何台もあって、キャリブレーションがあって、助手も必要でまあ大変。
というわけで、なにか簡単にできないかなとやってみたのを紹介します。
今回使ったのは以下の通り
- パソコン
- プリンター
- はさみ
- のり
- カメラ
- ローラー
ソフトウェア
パソコンで使うソフトは2つ(一つは任意)です。
1:Kinovea (無料)
これは、オープンソースの動作解析ソフト。これが肝。98%これのおかげ。
公式ページにもありますが、一定以上のコントラストのオブジェクトを自動で認識して、そのポイントを動画で追跡してくれ、時間と座標をとってくれるという機能があります。
リンク先に飛んで、Beta Releaseをクリック。
そして真ん中らへんにある「Current Beta」のどっちかをDownloadしてみてください。
どっちでも良いです。
2:Garming VIRB EDIT(無料)
これは任意かつGarminユーザー限定になってしまうけど、Garminで収集したケイデンスとかパワーデータを動画に入れ込みたい場合は、このソフトとGPSが一緒に記録できるカメラが必要。
ない場合は、コンピュータを画角に入るように置いといたり、いろんな手段はありそう。
GPSが必要というのは、GPSで時間合わせをして、編集するから。
僕はGoproを使ったけど、スマホでドラレコのアプリとかでも代替可能。
ハードウェア
1:ローラー
これは言わずもがな。
2:カメラ
スマホのカメラでも何でも可能。ただ、前述の通りパワーやケイデンスを動画に入れたい場合は、GPSも記録できるものが良い。
GoproはGPSも記録できるので便利。ドラレコのアプリでも代替できる。
3:プリンター、はさみ、のり(50円)
ただパワポで丸書いて印刷しただけ。笑
家のプリンターでやったけど、多分インクと紙をケチらずに、コンビニの写真カラープリントとかを使ったほうが良い。印刷代で50円かかります。
家でできる人はタダ!
100均とかで売っているこういうの使うのもいいけどね。
膝の屈曲角度、踵の軌跡を分析するだけならこのシールが4つあればできます。
貼る場所は以下の4箇所。
- 大転子
- 外側膝蓋支帯(膝のお皿の真横)
- くるぶし
- シューズの踵付近(ここは大雑把で良い)
ただ一つ注意点。
Kinoveaはコントラストを認識するので、色は考えたほうがいい。
膝のように肌に直接貼る部分は、上記の画像のように赤はだめ。自分はあとで青を作りました。
逆に、ビブショーツ、ソックスは黒、シューズは青だったのでコントラストがしっかり取れる赤色が正解だった。
直径2~3cmくらいで割と大きめ、色は濃い目に作ったほうがよい。
結構トラッキングの精度に関わるので工作頑張ろう。
いざ分析
Virbでパワーデータを重ねる工程は省略します。
ここは他にもいろんな日本語リファレンスがあるのでそちらにおまかせ。
自分はこれ参考にしました。
さて、まず撮影した動画データをパソコンに取り込み、ダウンロードしたKinoveaを立ち上げます。こんな画面。左上のファイルから、動画ファイルをインポート
こんな画面になりました。大転子、膝、くるぶしにはったポイントが上手く見えていていい感じ。
膝屈曲角度のオーバーレイ
下のツールバーの角度ツールをクリックすると、動画に分度器が表示されます。
それから、ドラッグアンドドロップで、以下のように大転子、膝、くるぶしで三角を作るようにポイントを合わせます。
そして右クリック→Tracking→Start Trackingとクリック。
これで、再生すると、貼り付けたトラックポイントを自動で追跡してくれます。
でもたまに、光の当たり具合でずれてしまうことがあるので、それはそのコマで止めて修正。
これは膝が影になって青のトラックポイントを追えなくなっています。
これを防ぐには、もっとコントラストの高いシールが必要!
基本的には再生して待つだけです。
もう十分だと思ったら、再生停止→右クリック→Stop Trackingで最終地点を確定。
右クリックした設定メニューから色や角度のフォントサイズも変えられる。
踵の軌跡
ツールバーから「ハンドツール」みたいなの選び、右クリック→軌道追跡。
以下のように中心地をポイントに合わせて同じようにトラッキング。最後はまた、右クリックをして軌道の最終位置を確定しておしまい。
(写真は踵じゃないところだった。。)
これも設定ができて、Visibilityだけ紹介。
Complete → 軌跡をすべて表示(履歴も表示される)
One second → 直近1秒だけの軌跡が表示される
Label only → 軌跡の線は表示されない。ラベルのみ。
OneSecondにしておけば、1.5周くらいは見れるので良いかな、と。
保存
保存は、ファイル→保存から。
基本的に分析結果をビデオに付与して保存(下)が良いと思われる。
エンコーディングに少し時間がかかるので、それを待ったらおしまい。
座標データへのエクスポート
にすると、以下のようなx,y,t(time)の3次元のデータが得られます。
右のグラフはそれをもとに僕が作ったもの。
単純にこんなに少ない周期をただグラフにしただけでも、わかることがある。
X軸の周期、特に上死点に来たときの踵の曲がり方?にばらつきがあるのが明白。
映像で見ても同じ軌跡をたどっていなかった
ほかにもいろんなアルゴリズムに入れて分析はできそうだけど、とりあえずここまで。
これができて何が嬉しいのか?
これまでやって何が嬉しいのかっていう話なんだけど、感覚的には「バイクフィッティング」と「ペダリング効率の改善」くらいに使えそう。
諸説あるけど膝の屈曲角度は、下死点において155°±3°くらいがよいと言われている。
あとは、同じ動作をできているかどうか。
ペダリングのアンクリングってあまり明確にこれがいい、だめというのは研究ベースではまだないらしい。
ただ一つ言えるのは、上手な人は毎回同じ軌跡を描く、と。
つまり、膝の角度だったり、踵の軌跡だったり、毎周期同じ動作ができているか見る、程度がいいのかな。
最後に
精度はどうなんだっていう話でいうと、以下の論文で割と検証されている。ボックスジャンプの膝屈曲角度で10%以内のばらつき。ん?笑
まあ結論的には十分Accuracyはあるということらしい。
最後の最後、エンジニア向け。
ちなみに、こんなに使いやすいソフトウェアとして整備はされていないのだけど、ディープラーニングを使った骨格解析のライブラリがあります。
OpenPose
もともとオブジェクトを追跡するOpenCVというライブラリがあって、その派生で作られたもの。人間をスティックピクチャーで表すことができて、座標もGetできる。
0円と2時間でできる詳細なペダリング解析をお求めの方は是非。
やばい、最初から3400字は飛ばしすぎた。
この調子だとあと1ヶ月は更新しないかも。
おしまい。
こんにちは。
こんにちは。
気分で始めてみました。
本当はWordPressとか立てようと思ったんだけど、そしたら「書かなきゃ」みたいなのが生まれるかなと思ったので、ひとまず無料で手軽のはてブロで。
初めた理由は、気分です。
主にTwitter,Instagram,Facebookは使っていたのだけど、もう少ししっかりシェアしてみたいなー、的なことが増えてきたので、それはブログで書こうかなと思います。
SNSって使い分け難しいよね。
発信力としてYoutubeっていう選択肢もあると思うし、動画編集のスキルが無いわけではないのだけど、いかんせん時間コストがかかりすぎるので断念。
あとは、自分もやっぱりいろんなブログだったりnoteだったりを読むから、かな。
アスリート然り、エンジニア然り、学生然り。
今の所練習ログとかを上げるつもりはあまりなくて、気になる情報をPickして整理してシェアしたり、自分のこと少し書いてみたりの予定です。
主なTopicとかも定めてなくて、書きながら方向性は探っていきます。更新頻度も書きたいことがあったときに書く、程度ではじめる。無理しない。これ暗示。
では、よろしくお願いします。